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【実例写真あり】劣化した軒天の修理はどうしたらいい? 放置するとなぜ危険?

お役立ちコラム

更新日:2025/01/23

みなさんは軒天という部材をご存じでしょうか。もしかすると、初めて聞いたという方もいらっしゃるかもしれません。軒天とは、屋根と裏側部分のことで、ちょうど当記事の一番上にある写真の部分(白い部分)にあたります。近年は軒天の軒の出を長めにとったような形状も人気があります。建築基準法では、軒の出の長さそのものに規定はないため、軒天をどう取り入れるかで住宅の個性を出すことも可能です。そんな軒天ですが、実は屋根や外壁と同様に、日々劣化していきます。劣化を放置してしまうことで住宅の外観に影響を及ぼしたり、雨漏りや害虫被害の原因につながるため危険です。そこで本記事では、劣化した軒天の修理方法を、弊社で実際に修理させていただいた実例写真もふまえながらご紹介していきます。

「そもそも軒天の役割ってなに?」「軒天って必要なの?」と、そんな風に思われている方も多いかと思います。冒頭でも触れたように、最近では軒天外観デザインの一種として、外観のアクセントにするデザインも人気がありますが、軒天の本来の役割は別のところにあります。軒天について理解を深めていただくためにも、ここでは軒天の本来の役割について簡単に解説をしていきます。

雨が降ると、基本的には屋根から雨樋に雨が流されて、雨水桝や下水道に流されていきます。しかし、全ての雨が雨樋に流れつくわけではなく、一部の雨は屋根から地上に落ちていきます。屋根の形状によっては、雨が一箇所に落ちやすい形状になっていることも珍しくなく、雨樋にたどり着けなかった雨が住宅の同じ部分の地面に落ち続けることになります。その結果、住宅基礎の沈殿などが起きる可能性があります。こうした雨水の集中落下を防ぐために、雨樋の他に屋根には軒天が設けられ、雨水を一箇所に集中させないよう均等に分散する役割を担っているのです。

軒天が出ているデザインの場合は、窓に入り込む陽光の日よけの役割や、紫外線で劣化する外壁を保護する役割も果たします。立地環境にもよりますが、直射日光が窓から入りやすい土地の場合は、軒天があることで室内の急な温度上昇や、温度上昇による過度な冷房負担を減らすこともできます。

戸建て住宅では、建物内の通気や換気を軒天で行う設計が多いです。軒天の下には換気孔や通気口が設けられており、軒天をのぞき込むと換気孔や通気口の位置を確認することができます。通気や換気は湿気対策には欠かせず、特に雨が多い地域や湿度が高い地域などでは欠かせません。また表からは分かりにくい軒天に、通管機構や通気口を設けることで、外観デザインに影響が出ないようにする役割もあります。

軒天は、外観デザインにおいて非常に重要な役割を果たす部分です。特に家の外観を整えるためには、軒天の仕上げや素材選びが大きな影響を与えます。外壁や屋根の形状と相まって、軒天が整っていると、全体的に洗練された印象を与えます。逆に、軒天の劣化や汚れ、未処理のままだと、家の印象を損なう原因になりかねません。また、軒天はただの保護機能にとどまらず、デザイン面でも個性を表現する重要な部分となります。例えば、木材を使った温かみのある仕上げや、モダンな金属を使ったスタイリッシュなデザイン、さらには色やテクスチャーの選択で、住まいの雰囲気を一層引き立てることができます。これにより、家全体の調和が生まれ、周囲の景観にも溶け込みやすくなります。

軒天は、屋根や外壁の構造とともに、住宅のエネルギー効率に大きな影響を与えます。特に、軒の出具合や通気口の有無は、室内の温度調節に寄与します。夏の暑い時期には、軒天が屋根の一部を覆うことで直射日光を遮り、家の中に入る熱を軽減します。これにより、エアコンなどの冷房設備を効率的に使用でき、電気代の節約にもつながります。また、冬場には、屋根裏の通気性を確保することで湿気の発生を防ぎ、室内の暖かさを逃がさないようにする効果もあります。このように、軒天は家の快適な温度環境を保つためにも重要な役割を果たし、エネルギー効率を高めることで、環境にも優しい住まいづくりを実現します。

軒天は、建物の防火性能を向上させる役割も持っています。特に木造住宅の場合、軒天が適切に設置されていることで、屋根裏や外壁の間に火が広がるリスクを抑えることができます。軒天には耐火性の高い素材を選ぶことができ、火災の拡大を防ぐバリアとしての機能を果たします。さらに、軒天がしっかりと施されていると、外壁や屋根の隙間からの火の侵入を防ぐことができます。火災に強い構造を意識することで、建物の耐火性能を向上させ、万が一の火災に備えることができます。特に住宅地が密集している場所や、周囲に可燃物が多い場合には、この防火性能が非常に重要です。軒天の適切な設計と素材選びが、家の安全性を高めるポイントとなります。

軒天には、デザイン面だけではなく、建物を守るための役割があるということを知っていただけたのではないでしょうか。そんな軒天も、定期的なメンテナンスを行わないと劣化が進んでいきます。では、劣化が進んだ軒天を放置すると、どのような危険が及ぶのでしょうか。冒頭で少し触れた部分もありますが、ここでは具体的な軒天の劣化の危険性について解説をしていきます。

軒天が劣化している状態だと、耐水性が維持できていなかったり、一部分が破損しているなどの理由により雨漏りが発生することがあります。雨漏りと聞くと、屋根や外壁からのイメージが多いかもしれませんが、このように軒天が原因で雨漏りが発生することがあります。雨漏りを引き起こした軒天はシミになっていたり、一部が剥がれ落ちていることが多く、軒天をのぞき込むことで確認をすることができます。

軒天から雨漏りが発生すると、軒天部分だけではなく、軒天の付近にある柱や梁などの構造部に影響を及ぼすことがあります。すぐに対応できていれば大きなトラブルにはならないような雨漏りでも、放置することで徐々に建物の構造部の腐食が進み、崩落や崩壊のリスクもあり危険です。

軒天の劣化で軒天から雨漏りが発生したり、軒天が剥がれていたりなどのトラブルが発生している場合、害虫が建物内に侵入しやすくなります。特にリスクがあるのが、シロアリです。シロアリは水に濡れた木材や暗い場所を好むため、軒天部分の雨漏りを目指して建物内に侵入し、建物内の木造を食べてしまうことがあります。小さなシロアリですが集団で目に見えない場所で動くため、気付いた時には柱などの木材がボロボロだった、柱などが倒壊寸前だったというケースも珍しくありません。

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軒天の劣化が進行すると、屋根裏に湿気が浸透しやすくなり、その影響を受けるのが断熱材です。断熱材は、室内の温度を保つために非常に重要な役割を担っており、湿気に弱い素材が使われている場合、湿気がその性能を大きく低下させます。湿気を含んだ断熱材は、熱を伝えやすくなり、断熱効果が大幅に失われるため、室内の温度調節が効きにくくなります。具体的には、夏の暑い時期には屋根裏にこもった熱が室内に伝わりやすくなり、冷房の効きが悪くなります。これにより、エアコンを長時間稼働させる必要が出てきて、結果的に電力消費が増加します。同様に、冬場には温かい空気が屋根裏で逃げやすくなり、外気の冷たさが屋内に侵入します。これによって、暖房を強くしなければならなくなり、暖房費用が増加する原因となります。さらに、湿気を含んだ断熱材は時間が経つにつれて劣化し、性能が悪化し続けます。最初は小さな問題かもしれませんが、放置することで断熱材の交換が必要となり、これには大きな修繕費用がかかることになります。特に、湿気によってカビが発生した場合、断熱材だけでなく、屋根裏全体の環境が悪化し、より高額な修繕が必要になる可能性もあります。断熱材の交換作業は手間もかかり、長期的には高いコストを伴うため、軒天の劣化を早期に修繕して、断熱性能を維持することが、結果的に家計を守ることにもつながります。

軒天は、家の外観に大きな影響を与える部分であり、その劣化は見た目に直結します。特に軒天が汚れや破損を起こすと、家全体の印象が大きく損なわれることになります。汚れが溜まったり、塗装が剥がれて色あせが目立ったり、ひび割れや剥がれが見えると、どうしても外観が古びた印象を与えてしまいます。特に外壁が美しく保たれている家でも、軒天が劣化していると、全体の印象が一気に悪くなり、家の魅力を引き出せなくなります。また、軒天が汚れていたり破損していると、近隣の住民にも悪い印象を与える可能性があります。定期的にメンテナンスが行われていない家は、周囲から「管理が行き届いていない家」と思われてしまうことも。住宅街においては、外観が美しい家ほど、周りの人々にも好感を持たれるため、軒天の劣化が目立つことは近隣との関係にも影響を与えかねません。さらに、軒天が外壁の一部として機能しているため、軒天が整っていないと、家全体にダメージが目立ちやすくなります。例えば、屋根の一部や外壁がきれいでも、軒天の部分に欠けや汚れがあると、全体的に不完全に見えてしまいます。その結果、家の美観が損なわれ、物件の価値が低下することもあります。特に売却を考えている場合、軒天が劣化していると、購入希望者にマイナスの印象を与える原因となります。

特に木造住宅において、軒天の劣化が進むと火災のリスクが大きく高まる可能性があります。軒天部分は屋根と外壁をつなぐ重要な構造部分であり、もしここが適切にメンテナンスされていない場合、火災が発生した際に火の回りが非常に速くなります。軒天が劣化していると、木材が乾燥し、さらに火災が発生した場合に火の通りが早くなる原因となります。木材は可燃性が高いため、軒天部分の木材が湿気や劣化により乾燥していると、火災が発生した際にその火が広がりやすく、家全体が炎に包まれる危険性が高まります。特に、軒天に使用される木材は屋外に面しているため、湿気や直射日光を受けることが多く、劣化が早く進行する傾向があります。乾燥した木材が火を引き寄せることになり、火災が小さな火花から一気に大きな炎に発展することもあります。また、軒天の役割は家の外観や防水性能を保つだけでなく、火災から家を守るための重要な機能を担っています。適切にメンテナンスされた軒天は、火災の際に家の内部への延焼を防ぐ役割を果たしますが、劣化しているとこの防火機能が失われ、火災の拡大を助長してしまいます。

劣化した軒天を放置することで、さまざまなトラブルが発生し、危険が生じるということを知っていただくことができたかと思います。では、実際に軒天が劣化している場合は、どのような修理を行うのでしょうか。業者に依頼する前に知っておきたいという方も多いかと思いますので、ここでは軒天が劣化した場合に、一般的に行われる修理方法について解説をしていきます。

一番よく行われているのが、軒天の塗装です。修理が必要な場合は修理対応した後に、軒天をきれいに清掃して、上から塗料を塗っていきます。劣化した軒天はくすんだ色になってしまったり、雨漏りのシミが付いていることも多いですが、塗装を施すことで新品のような軒天になります。メンテナンス工事としても取り入れられている塗装工事は、トラブル発生前に予防的な意味で行う方も多いです。屋根や外壁塗装と一緒に行う方が多いため、10年~15年おきの塗装がオススメです。

既存の軒天が修理を行ったうえで下地材として使える状態の場合は、既存の軒天の上から新しい軒天を重ね張りする修理方法があります。撤去の手間がなく、また見た目も新しい軒天になるため、大きな違和感なくこれまで通り軒天を使うことができます。ただし一部分だけの交換となると、他の既存軒天が浮いてしまう場合があるため、全体の施工を検討される方も多いです。

既存の軒天が傷んでおり、重ね張りでは難しい場合は、重ね張りよりも費用が高くなりますが軒天の交換を行うこともあります。軒天の交換は、既存軒天を全て撤去して、新しい軒天を付けるため新品同様の性能が期待できます。ただしこちらも張替えの場合と同様、一部分のみの対応というよりは、全体の軒天のバランスを見て施工範囲を決める必要があります。

軒天の修理を検討しているけれど、完成イメージがいまいち浮かばないという方も多いかと思いますので、最後に弊社で実際に行った軒天の修理工事の実例をご紹介して終わります。ぜひ今後のメンテナンスや修理の参考にしてみてくださいね。

こちらの住宅では、既存軒天の下地が、劣化の影響を受けて損傷が激しくなっております。下地の損傷が激しいと、その分修理費用が高くなってしまいますので、どの住宅でも注意が必要です。ただし下地の劣化は個人では判断できないことも多いですので、定期的なメンテナンスを行うことも対策のひとつであると言えますね。今回は傷んだ下地材をしっかりと補修し、新しい軒天へ交換を行いました。

BEFORE
AFTER

こちらの住宅では、雨漏りによって傷んでしまった既存軒天についてご相談をいただきました。既存軒天の耐水性が十分ではなく、湿気によって破損亀裂が入ってしまったり破損してしまった結果、雨漏りにつながったようです。張替えのご希望でしたので、住宅の外観に影響がでないよう既存の軒天と同じ色味で新しい軒天を設置いたしました。

BEFORE
AFTER

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