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防水工事は減価償却できる? 正しい経費計算で節税効果UP!

お役立ちコラム

更新日:2024/01/17

所有している物件の工事を行った際に悩んでしまうのが「経費計上」についてですよね。特に大家さんになったばかり、投資のひとつとして不動産投資を始めたという方にとっては「何をどのように経費計上できるのか」はとても重要な部分です。不動産の課税対象は家賃収入から経費を引いた部分になってきますので、いかに上手く経費につけるかで節税効果も上がります。今回は大家さんや不動産投資を行っている方に向けて、防水工事がどのような分類で計上されるのか、またメンテナンスのタイミングについても詳しく解説をしていきます。

減価償却とは?

減価償却という言葉を初めて聞いた、という方もいらっしゃるかもしれません。減価償却とは資産取得にかかった費用を法定耐用年数に応じて分割し、費用計上する会計処理方法のことをいいます。基本的には一度に経費計上とすることはありません。また法定耐用年数は財務省令の別表にまとめられているため、取得した資産の法定耐用年数は以下から確認することができます。

参考元:減価償却資産の耐用年数等に関する省令/財務省の別表
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=340M50000040015

減価償却の対象になる資産

資産には形がある「有形固定資産」、形のない「無形固定資産」、生き物が対象の「生物」の3種類に分けることができます。減価償却の対象となる資産の条件としては「使用可能期間が1年以上」かつ「取得価額が10万円以上」とされています。(※詳細は国税庁のHPにでご確認いただけます。)

 ▶減価償却の対象となる具体例
 ・建物、設備、車両など(有形固定資産)
 ・権利関係、ソフトウェアなど(無形固定資産)
 ・家畜や果樹栽培の樹など(生物)

具体的には上記なような物が減価償却の対象となります。またよく間違われてしまいがちな「減価償却の対象とならない物」についてもまとめました。参考程度に以下もご覧ください。

 ▶減価償却の対象とならない具体例
 ・建設中の資産
 ・在庫(売れた時に売上資産に計上)
 ・土地
 ・美術品や骨董品

減価償却の対象とならない資産は「時間の経過と共に資産が減少しない物」が分類されます。一度に会計処理すれば簡単に済むものを、なぜ数年に分けて減価償却するのか? と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、高額な資産ほど減価償却を行うことで長期的な節税効果が見込めます。またその年の会計処理において極端な利益減少が発生しないというメリットもあります。

参考元:減価償却のあらまし/国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm

「資本的支出」との区別に要注意

雨漏りしてしまった部分を防水工事して修繕費として計上できるなら、「ついでにもっといい素材を使って見た目もカッコ良くしてしまいたい」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし修繕費はあくまで修繕前と同品質のものに修理する場合に成り立つもので、明らかに修繕前より資産としての価値が上がっている場合は「資本的支出」という扱いになり、経費計上としては処理できません。具体的な処理の違いは以下の通りです。

 ▶修繕費と資本的支出の違い
 修繕費:経費に計上できる
 資本的支出:減価償却として毎年減価償却される

なぜ修繕費と資本的支出を区別しなければならないかと言うと、分類によって上記のような違いが出るからです。トータルの税金は減価償却を行って毎年払っていく、資本的支出の方が抑えられる可能性があります。しかし資本的支出にしてしまうとその時点での経過年数に関係なく、本来の耐用年数に従って減価償却する必要があります。耐用年数が47年のRC造マンションがある場合、20年目で防水工事を資本的支出とした場合は、その時点で新たに47年の減価償却を行う必要があります。手元の資金に余裕がある場合であれば資本的支出としても問題ありませんが、手元に資金があまりない場合はその年の税金が安くなる修繕費とした方がいい可能性もあります。

防水工事のメンテナンスのタイミングはいつ?

資金繰りや税金の関係のお話をしてきましたが、ここからは防水工事の具体的なメンテナンスのタイミングについて解説をしていきます。防水工事は家を雨水の侵入から守る目的で行われる工事です。大家さんとしても住民の命と物件という不動産資産を守るために大切な工事です。正しいタイミングでメンテナンスをしていけるよう計画することも大切な大家さんのお仕事です。また、防水工事の各工法については上記記事で解説をしておりますので、是非参考にしてみてくださいね。

合わせて読みたい記事!
防水工事の工法は4種類! それぞれのメリット・デメリットは?
https://www.elife-home.net/column/bousuikouji/.html

防水工事の各工法については上記記事で解説をしておりますので、是非参考にしてみてくださいね。

10年~15年に一度

防水工事を行うタイミングとしては、新築時や前回の防水工事からおよそ10年~15年経過した時と言われています。10年~15年経過すると、表面上は問題がないように見えていても、防水塗膜やその他の部分で劣化が生じやすく、全体的な防水に対する性能が落ち始めてくる頃です。そのため、これまでに問題がない建物であっても10年~15年に一度、防水工事を行っていく必要があります。

過去に雨漏り履歴がある場合は、一般的な防水工事の時期よりもさらに短い、5年~7年に一度防水工事や修理・修繕を行うメンテナンスの実施が推奨されています。ただし雨漏りの状況や、雨漏りによる建物の被害状況によってもメンテナンスの推奨時期は異なるため、業者に相談するのが一番です。大切なのは雨漏りが起きる前に対処をすることですので、既に雨漏り履歴がある建物の場合はより慎重になる必要があります。

防水工事のメンテナンスは数年おきで問題はありませんが、点検は年に一度実施しておくことをオススメします。点検の単発依頼だと一ヵ所に付き5,000円~15,000程度の費用が相場ですが、長い付き合いがある業者であったり、もともとの防水工事のパックに無料点検などのアフターフォローが付いている場合は、費用がかからないこともあります。大家さんなどで建物を維持するための点検費用は基本的に修繕費として認められるため、点検費用がかかった場合でも領収書はとっておくようにしましょう。

防水工事は定期的に行うことが必要な、メンテナンス工事であるということを知っていただけたのではないでしょうか。特に大家さんであれば、建物の安全を維持するためにも、点検を適切に行ったり安全に暮らせるために必要な修理・修繕を行う義務があります。では、万が一そんなメンテナンス工事である防水工事を怠ってしまうと、どのようなことが起きるのでしょうか。ここでは防水工事の重要性を知っていただくためにも、防水工事を怠ってしまった場合に起きる可能性のあるトラブルについて解説をしていきます。

防水工事は、建物を雨水から守るために行う工事です。そんな防水工事を怠ると、防水層が劣化し機能性が低下することにより、十分に雨水を防げなくなってしまいます。その結果、雨漏りに発展することは珍しいことではありません。防水工事では屋根や屋上、バルコニーなどに施工されますが、雨漏りはこうした場所から発生しやすいため、いかに防水工事が大切かが分かります。

雨漏りが拡大すると、建物の重要な構造部分が雨水により腐食し、建物としてもダメージを受けます。柱や梁、耐力壁など、ひとつひとつの構造部が建物を支えるのに大きな役割を担っています。そんな役割を持つ構造部がひとつでも腐食し脆い状態になってしまうと、建物の安全性にも関わります。最悪の場合は、部分的あるいは全体の崩落リスクがあり命の危険にもつながります。

雨漏りにより、断熱材が影響を受けることがあります。断熱材が濡れてしまうとカビが生えたり、断熱材そのものが機能性を失ってしまうこともあります。濡れた断熱材はシロアリが好む習性があるため、シロアリの被害に遭いやすくなることもあります。これらの要素が重なり断熱材がだめになってしまうと、家全体の断熱効率が下がり、冬は寒く夏は暑い過ごしにくい室内環境になってしまうのです。

雨漏りが発生する場所によっては、内装に影響が出ることがあります。特に多いのが、天井クロスに広がる雨漏りのシミです。茶色い濁ったような色がハッキリとシミと認識できるくらいの色で付着するため、そのままの状況では人に貸すことができず、雨漏り修理の手間の他に内装のクロスの張替えなども行う必要性が出てきます。入居中の状態であれば、作業中の入居者の滞在スペースを確保しなければいけないこともあるため、業者の確保と入居者のフォーローの同時作業を行わなければいけない状況になることもあります。

防水工事は、推奨されるメンテナンス期間や点検で判断する以外にも、目で見て分かる劣化症状や防水工事が必要なサインを見逃さないことで、早めの修理・修繕を行うことができます。大家さんは管理会社に建物の管理委託をしているという方も多いかと思いますが、防水工事が必要なサインがあったらすぐに連絡をもらうなどして連携を取ることで、雨漏り被害が拡大する前に対処することができます。ここでは、そんな防水工事が必要な場合に現れるサインについて解説をしていきます。

バルコニーでよく見られる劣化症状としては、ひび割れや膨れがあります。バルコニーはある程度の歩行を前提に作られているため、防水層の上に耐久性を保つためのトップコートが施工されています。そのトップコートが、歩行や天候などの影響により劣化・摩耗することで、ひび割れや膨れなどの劣化症状を引き起こすことがあるのです。ひび割れや膨れを見つけた場合は、既に雨漏りが起きている可能性もあるため、すぐに業者に相談しましょう。

屋根や屋上、バルコニーでは、防水塗装の劣化により色あせが発生することがあります。色あせ自体は急を要するような劣化症状ではないものの、すでに防水面や耐候性に対する機能面が落ち始めている証拠でもあるため、メンテナンスを検討する必要があります。なんとなく色がぼんやりしている、新築当初と色合いが変わって見える、という場合は劣化による色あせの可能性が高いです。

使用頻度や設定温度などに特別な変化がないにも関わらず、例年と比べて冷暖房費用が高くなっている、という場合は断熱材が既に雨漏りにより影響を受けてしまっている可能性もあります。冷暖房費用と聞くと、エアコンの設備の劣化も考えられますが、雨漏りの影響や害虫の影響を受けていることもあるため、大家としては注意しなければいけないポイントです。

修理が必要になる前にメンテナンス依頼をしよう

防水工事のメンテナンスが必要なタイミングや、劣化症状についてご紹介してきました。10年~15年あれば十分なメンテナンス計画を立てることができますね。ただし状況によってはもっと早い段階で工事が必要になる場合もあります。例えば台風が頻発する地域であったり、海沿いで塩害を受けやすい地域の場合、その他の一般的な気候の地域に比べて建物自体の劣化スピードが早い傾向にあります。防水工事は工事が必要になってから行うよりも、工事が必要になる前にメンテナンスとして行うことが大切です。実際にメンテナンス費用としても、雨漏りが発生してしまった場合よりも発生する前に行う方が安く済み、建物へのダメージも少なく済みます。まだ年数がたっていないけど少し不安だな、という方はプロの業者にメンテナンスが必要かどうかの様子を見てもらうのもオススメですよ。

悪徳業者に注意!

防水工事は修繕費の中でも比較的高い分類となります。そのため悪徳業者が不当な利益を得やすく、また一般的に詳しい工事内容を知っている方は少ないためそういった専門的な知識の部分を上手く利用して騙そうとしてきます。本来は必要ない工事を行おうとして利益を出そうとしてきたり、技術がないために全く修理されていない・・・そんなトラブルも実際にはよく起きています。プロの業者に依頼する際はしっかりリサーチを行い、契約・依頼を行うように心がけましょう。

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まとめ

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