庭の広さを十分に確保できない都心部の住宅地や、隣家からの視線を遮るために、バルコニーガーデンを楽しみたいと考えている方が増えています。特に近年は、働き方改革や在宅勤務の広がりによって、自宅で過ごす時間が増えたという方も多いですよね。そんな方が、「自室やリビングから見えるバルコニーも庭のように楽しみたい」と、バルコニーガーデンを希望する方も増えています。しかし気になるのが、バルコニーで植物を育てても大丈夫なのかという点ですよね。街中でよく目にするバルコニーガーデンですが、本当に大丈夫なのか気になっている方も多いかと思います。そこで今回は、バルコニーガーデンのデメリットや、実際に行う際の注意点について詳しく解説をしていきます。
バルコニーで植物を育てるデメリットとは?

バルコニーガーデンは、さまざまな楽しみ方がありますよね。庭まで出なくても手軽に植物のお世話ができたり、部屋から植物を楽しむこともできます。近くに屋外家具を置いてカフェのようにくつろぐ楽しみ方もできます。冒頭でも触れたように、庭の代わりにすることもできますし、隣家が近い場合は視線を遮る役割も担います。このようにたくさんのメリットがあるバルコニーガーデンですが、当然デメリットもあります。デメリットを知らずにバルコニーで植物を育ててしまうと、後々思いがけないトラブルが発生する可能性があるため、まずはここでバルコニーで植物を育てるとどのようなデメリットがあるのか一緒に見ていきましょう。
土が流れ出る
植物は土の中に根をはり、そこで水分や栄養分を吸収しながら育っていく生物です。そのためバルコニーと言っても植物を育てるうえで土は必要不可欠な存在ですが、この土が少し厄介な存在となってしまいます。植物に水をあげた際、植物が吸収しきれなかった水はそのまま土と鉢を通してバルコニーに流れ出ることになりますが、この土がバルコニーの床面を汚したり排水溝を詰まらせる原因となります。土が流れ出ることで見栄えも悪くなりますし、しっかりと掃除をしていないと、土が乾燥した際に風でバルコニー全体に土に紛れていた砂利や砂が拡散されてしまうこともあります。
バルコニーの床が傷む
バルコニーで植物を育てていると、特に植物の鉢の下が常に水分で湿気が溜まってしまうため、バルコニーの床が傷んでしまうことがあります。長期間に渡って植物の鉢を置きっぱなしにしていると、鉢の形状に沿って変色してしまうこともありますし、床面が傷んでそこから水漏れにつながってしまうこともあります。バルコニーからの水漏れはとても深刻で、建物の重要な構造部分に影響を与えてしまうこともあるのです。水漏れに気付かず放置をすることで、床が傷んだ場所から雨水が入り込む雨漏りが発生することもあります。そうして傷んだバルコニーの床や内部素材が腐敗することで、バルコニーが崩れ落ちる危険性も高まりとても危険です。
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害虫が湧く
植物には多少なりとも虫が発生しますが、バルコニーという生活環境が近いところでの害虫の発生は、ストレスに感じる方も多いかと思います。特に夏場は虫が発生しやすく、蚊が植物の鉢付近に卵を大量に産み付けることもあります。蜜をつけるような植物には、人間にも健康被害が出る可能性のある蜂が寄ってきてしまう可能性もあります。害虫が湧くことで、ベランダに出ることが難しくなってしまったり、洗濯物に虫がついてしまうなどのトラブルも起きやすくなります。バルコニーの床が傷んでいる場合は、そこから害虫が室内や建物内部に侵入してしまうこともあるため注意が必要です。
ベランダに荷重がかかり負担になる
少し楽しむ程度で植物を置く分には問題がなくても、大量の植物を隙間なく埋めていくように配置しているようなバルコニーガーデンは、ベランダに想定以上の荷重がかかっている可能性があるため注意が必要です。ベランダにも住宅と同様に耐えられる荷重が決まっているため、想定以上の荷重をかけてしまうことで、バルコニーが崩壊するリスクがゼロではないのです。大きな崩壊がなくても、部分的な崩壊リスクもあります。安全にベランダガーデンを楽しむためには、本来の想定されている耐荷重も確認しておく必要があるのです。
避難経路の妨げになる
戸建ての場合はバルコニーを自由に使える方も多いですが、マンションやアパートなど共同住宅に済まれている方は、管理会社の規定でバルコニーに物を置かないよう言われていることもあるかと思います。これはバルコニーが避難経路になっている場合に、問題なく避難経路を確保するために言われてることが多いです。万が一の際、ベランダに植物があると非難が上手くいかなかったり、救助の妨げになることがあります。入居する際のマンションやアパートの管理規約に規定されている内容を確認し、違反しないよう心がけることが大切です。
近隣住民の迷惑になる可能性がある
バルコニーガーデンで発生した害虫が、土や泥の流出、敷地を超えた葉や枝のはみ出しによって、近隣住民が迷惑を被る可能性があります。バルコニーガーデンを楽しむ場合は、大前提として近隣住民の迷惑にならないことが大切です。発生した害虫を放置していたり、土や泥の掃除、葉や枝の剪定を怠ると近隣住民の迷惑になる可能性があると知っておきましょう。
バルコニーで植物を育てる場合の注意点とは?

バルコニーガーデンは思わぬデメリットがたくさんある、と知っていただくことができたかと思います。「バルコニーで植物を育ててみたい」と考えている方にとっては、不安に感じてしまう内容もあったのではないでしょうか。しかしバルコニーガーデンも、きちんと対策をしていくことで、迷惑をかけることなく安全に楽しむこともできます。そこでここでは、バルコニーガーデンを楽しむために注意すべき注意点について解説をしていきますので、今後バルコニーガーデンをしようと考えている方はぜひ参考にしてみてくださいね。また、今現在バルコニーガーデンをしている方にも参考になる内容ですので、バルコニーの環境の見直しに役立ててください。
定期的にベランダの掃除を行う
通常のベランダでも掃除は大切ですが、植物を育てているという環境上、さらに配慮して掃除の頻度を高める必要があります。晴れている日など問題なく掃除ができる日には、できれば毎日バルコニーを掃除しましょう。毎日掃除をすることで、水と一緒に流れ出た土や風で飛ばされた砂利や砂を、しっかりと取り除くことができます。
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皿受けを使用する
鉢を直接バルコニーの床面に置いてしまうと、バルコニーの床が傷む原因になります。そのため、鉢専用の皿受けを使うことで、バルコニーの床の負担を減らすことができます。また直接土や水が流れ出るのを防ぐため、バルコニー掃除の負担を減らうこともできますよ。ただし皿受けの水は毎日捨てて、軽く水でゆすぐなどして清潔な状態で使うようにしましょう。皿受けの皿や水をずっと放置していると、害虫が寄ってきたり卵を産み付けられてしまうため、皿受けを使用するうえではこうした注意も必要です。
害虫対策をする
植物は生き物ですので、どうしても害虫が寄り付きやすくなります。しかし放置をしていると、生活のなかでストレスを感じたり、近隣迷惑となってしまうため、植物を育てるからには害虫対策も必須です。害虫対策にはさまざまなものがありますが、植物にネットをかけたり、害虫が好む匂いで呼びつけて捕まえるおとり材を使用すると効果的です。おとり剤は害虫が付着してしまうため、商品の説明にある交換時期を守って交換する必要があります。交換のし忘れがないようにだけ注意しましょう。
植物を置きすぎない
バルコニーの耐荷重を考えると、やはり植物は置きすぎないことが大切です。また置く植物も、重さのでない小さめなものから育ってもバルコニーの手すり程度で収まるものにしておくと、建物への負担を軽減できます。観葉植物のようにちょっと緑を取り入れる程度の範囲に収めておきましょう。植物の配置は、バルコニーの一角に負担がかかりすぎないよう、まとめすぎないことも大切です。
管理規約を確認する
マンションやアパートなどの共同住宅にお住まいの方は、まずは管理規約を確認しましょう。当然バルコニーに植物を置くことを禁止されている場合は、管理規約に従うことが大切です。明確に記載されていない場合は、管理会社や大家さんに相談してみましょう。管理規約で問題ない場合でも、2階以上の高層階の場合は、台風や強風時は室内に植物を入れるよう言われることもあるため、自分で移動できる大きさの植物を選ぶことも大切です。万が一の避難経路の確保や自然災害にきちんと対応できるよう、植物選びや配置をしっかりと考える必要があります。
バルコニーで育てやすい植物はある?
バルコニーで植物を育てる際は、育てやすさはもちろん、周囲への影響や水回りトラブルの起こりにくさも考慮することが大切です。たとえば水を頻繁に必要とする植物は、排水溝の詰まりや床の傷みを招くリスクがあります。そこで、ここでは「水やりが少なくて済む」「根が広がりすぎない」「排水への負担が少ない」といった条件を満たす植物を中心に、育てやすい種類をご紹介します。どうしてもバルコニーで植物を育ててみたい、だけどできれば水回りトラブルのリスクを減らしたいという方は以下の植物を参考にしてみてくださいね。
多肉植物
多肉植物は、その名のとおり葉や茎にたっぷりと水分を蓄える性質をもっています。そのため、こまめな水やりが不要で、忙しい方でも無理なく育てられる点が大きな魅力です。代表的な種類にはエケベリアやアロエ、グラプトペタルムなどがあり、見た目も個性的でインテリア性が高いのも人気の理由です。バルコニーで育てる場合、多肉植物は週に1回〜10日に1回程度の水やりで十分です。頻繁な水やりが必要ないため、バルコニーの床が濡れ続けることも少なく、排水口の詰まりや湿気によるトラブルも避けやすくなります。特に、排水溝が狭かったり床材が傷みやすい素材でできている場合は、多肉植物を選ぶことで水回りのリスクを大幅に軽減できます。また、鉢の底に軽石を敷いて排水性を高めたり、通気性の良い土を使ったりといったひと工夫で、より快適な環境づくりができます。日当たりがよく風通しのよい場所を好むため、南〜西向きのバルコニーなら育成にもぴったりです。
ハーブ類
ハーブは、料理やお茶に使えるだけでなく、観賞用としても人気の高い植物群です。ローズマリーやタイム、オレガノ、ミントなどは比較的乾燥に強く、水を与えすぎると逆に根腐れを起こしてしまうこともあります。そのため、「土がしっかり乾いてからたっぷり水を与える」という管理方法が基本となり、水の使い過ぎによる排水トラブルを避けやすい点が魅力です。特にバルコニーでは、プランターや鉢にたまった水が排水口に流れて詰まりを引き起こすリスクがありますが、ハーブはその頻度が少ないので安心です。また、ハーブ類は香りに防虫効果があるものも多く、虫が寄り付きにくいというメリットもあります。これにより殺虫剤の使用を控えられるため、環境にも優しく、小さなお子様やペットがいる家庭でも取り入れやすい植物です。植木鉢のサイズも小さめで済むため、限られたスペースでも手軽に始められます。水はけの良い鉢や土を使用すること、風通しのよい場所に置くことが快適な管理のポイントです。
アイビー(ヘデラ)
アイビーは「グリーンカーテン」としても利用されるつる性の植物で、日当たりが少ない場所でも元気に育つのが特長です。耐陰性があり、乾燥にも比較的強いため、バルコニーのような半日陰〜明るい日陰の環境にも適しています。水やりの頻度は週に1〜2回程度で済み、常に湿らせておく必要はありません。この性質により、排水口に頻繁に水を流す必要がなく、ぬめりや詰まりなどの水回りトラブルを起こしにくくなります。また、アイビーの葉は比較的小ぶりで落ち葉も少なく、排水口に葉が詰まるリスクも低いのがうれしいポイント。葉が密に生い茂ると通気が悪くなるため、定期的に剪定して風通しを保つことも大切です。鉢の大きさはコンパクトでも育成可能なので、手すり沿いなど省スペースでも設置しやすく、管理の手間も抑えられます。地面に根を張らせる必要がないため、床を傷めずに植物を楽しみたい方にも適した種類といえるでしょう。
セダム
セダムは多肉植物の仲間で、乾燥に非常に強く、初心者にも育てやすい植物として知られています。小さな葉が密集した可愛らしい見た目で、グリーンカーペットのように広がるタイプや、上に伸びるタイプなど、種類も豊富です。日光を好むため、日当たりのよいバルコニーとの相性は抜群です。セダムもまた水分を蓄える性質があるため、頻繁な水やりが不要で、水やりは土が乾いてからで十分。排水の頻度が少ないことで、排水溝の詰まりや水はねによる床の劣化を防ぎやすくなります。また、セダムは軽石入りの排水性が良い土を使うことで、鉢底からの水漏れや湿気トラブルをさらに軽減できます。鉢やプランターからこぼれ落ちるほど成長することが少ないため、周囲を汚しにくく、掃除の手間もかかりません。暑さにも寒さにも強い種類が多く、四季を通じて楽しめる点も人気の理由。特別な道具や頻繁な手入れが不要なため、ナチュラルにバルコニーを彩りたい人にぴったりの植物です。
ゼラニウム
ゼラニウムは、カラフルな花と香りが魅力的な植物で、観賞価値も高いだけでなく、虫除けとしても知られています。特に葉に含まれる成分が蚊などの虫を遠ざける作用があるため、バルコニーでのガーデニングにぴったりの一品です。ゼラニウムは乾燥気味の環境を好むため、水やりの頻度は少なめで問題ありません。土が乾いてから水を与えるスタイルが適しており、毎日水やりをする必要がないため、排水トラブルも起こりにくくなります。逆に湿気が多すぎると根腐れの原因となるため、水はけのよい鉢や軽石を入れた通気性のよい用土を使用するのがポイントです。花が咲き終わったらこまめに花がら摘みをすることで、病気の予防にもなり、清潔な環境を保てます。落ち葉も少なく、排水口への詰まりのリスクも低いため、管理が非常にラクです。定期的に剪定を行えば、形も整えやすく、見た目にも美しい状態をキープできます。
バルコニーの環境整備にメンテナンスもしておこう!

バルコニーで植物を育てる際の注意点について、知っていただくことができたかと思います。しかし、今現在のバルコニーが劣化していたり、雨漏りがある状態では当然植物を育てるのは危険です。そのため、前回のバルコニーのメンテナンスや新築から10年以上経過している場合は、植物を運び入れる前に、環境整備としてバルコニーのメンテナンスをしておくことも大切です。そこで最後に、やっておいた方がいいバルコニーのメンテナンス工事について解説をして終わります。
トップコートの塗り直し
バルコニーの床面には、トップコートと呼ばれる保護剤を塗布しています。トップコートを塗ることで、バルコニーに入り込む紫外線や歩行の際の擦れなどからバルコニーの床を守ります。しかしトップコートは消耗が早く、大体5年程度で劣化が目立ち始めます。バルコニーの床全体の色がくすんで見えたり、水はけが悪くなってきた場合は、トップコートの塗り直しの目安です。トップコートはDIYで行う方もいらっしゃいますが、きちんと施工できていないと水漏れの原因となるため、プロの業者にトップコートの塗り直しを依頼しましょう。
防水層の再施工
バルコニーの床部分の下には、防水層と呼ばれるバルコニーの防水を担う役割のある部分があります。バルコニーの防水層は普段目に見える部分ではありませんが、10年~15年程度で劣化し始めるため、前回の工事や新築から10年経過している場合はそろそろバルコニーの防水層の再施工を検討し始める時期です。もちろん問題がなければ必ず工事を行う必要はありませんが、基本的には水漏れや雨漏りが起きる前に工事をして予防していくものですので、植物を運び入れる前に一度業者に相談して現在の状態を確認してもらいましょう。
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まとめ
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