台風や突風などの強風が吹き荒れると、「屋根が浮いてしまったのでは…?」と不安になる方は少なくありません。実際に屋根材がずれたり剥がれたりする被害は全国で多く報告されており、放置すれば雨漏りや建物全体の劣化につながる危険もあります。しかし、いざ自宅の屋根が強風で被害を受けたとき、どのように対応すればよいのか迷ってしまう人が多いのも事実です。そこで今回の記事では、強風によって屋根が浮いてしまったときの応急処置の方法や、その後に取るべき行動、さらに再発を防ぐためのメンテナンスのポイントまで詳しく解説します。緊急時に慌てず正しい行動を取るために、ぜひ参考にしてください。
強風で屋根が浮く原因とは?

記事のタイトルを見て、「強風で屋根が浮くなんてそんなことあるの?」と驚かれた方も多いかと思います。しかし実際に、台風や突風などによる屋根への強風被害は全国で起きており、屋根に大きなダメージを与える代表的な要因です。特に築年数が経過している住宅や、定期的なメンテナンスを怠っている場合、強風によって屋根が浮いたり剥がれたりするリスクが高まります。では、具体的にどのような原因で屋根が浮いてしまうのでしょうか。ここでは、強風で屋根が浮いてしまう原因について、分かりやすく解説をしていきます。
風圧による屋根材の浮き上がり
強風の影響で屋根が浮く最も大きな要因は、「風圧」です。風が屋根に当たると、表面に強い押し付ける力がかかる一方、屋根の反対側には「負圧」と呼ばれる吸い上げるような力が働きます。このとき、屋根全体が外側から押されつつ内側から引き抜かれる状態になり、固定が弱まっている部分から少しずつ浮き始めてしまいます。特に屋根の端や棟部分は風の通り道になりやすく、局所的に強い力が集中するため、他の部分よりも被害が出やすいとされています。瓦屋根やスレート屋根のように重なり合って設置される屋根材を使用している場合は、この負圧の影響を受けやすく、1枚が浮くと力の作用の関係で、連鎖的に周囲も持ち上げられることがあるのです。
屋根材や下地の劣化
屋根が長期間、風雨や紫外線にさらされると、釘やビスといった固定金具が錆びたり緩んだりして、屋根材を押さえる力が弱まっていきます。また、屋根材そのものも経年劣化で反りやひび割れが発生し、強風の力を受けたときに外れやすい状態になってしまいます。下地の木材が湿気で腐食しているケースでは、表面の屋根材がしっかり留まらず、強風にあおられると一気に浮き上がってしまうこともあります。特に棟板金は金属製で軽量なため、劣化が進んでいると強風で外れやすい部位として知られています。普段は目に見えない部分の劣化が、強風時に被害につながる可能性があるのです。
施工不良による影響
意外と多いのが、施工時の不備による被害です。本来であれば適切な本数の釘やビスでしっかり固定し、防水処理を施して強風にも耐えられるよう施工します。しかし、工事の際に釘の打ち込みが浅かったり、部材同士のかみ合わせが甘かったりすると、時間が経たないうちに強風で浮いてしまうことがあります。また、地域の風の強さを考慮せず一般的な施工をした場合にも、想定外の風圧に耐えられず被害が出やすくなります。見た目には問題がなくても、内部の固定が十分でないと強風による屋根の浮き上がりは避けられないのです。
強風で屋根が浮いたときの応急処置とは?

屋根が強風で浮いてしまった場合、最も大切なのは「被害を最小限に抑えること」と「安全を確保すること」です。慌てて屋根に登ろうとする人もいますが、強風が残っている状況での作業は大変危険であり、転落や二次被害につながる恐れがあります。そのため、応急処置はあくまで「できる範囲で」「安全を優先して」行うことが基本です。では具体的に、どのような行動が応急処置として適切なのでしょうか。
無理に屋根に登らないことが最優先
応急処置と聞くと「屋根に登って補修しなければ」と考える人もいますが、これは非常に危険です。強風が残っている状況や、雨で屋根が濡れている状態では足場が滑りやすく、屋根材が浮いている部分に足をかけると崩落する可能性もあります。実際に、強風被害の後に屋根に登って作業を行い、転落事故につながった事例も少なくありません。屋根の状態を確認したい場合も、双眼鏡やスマートフォンのカメラを利用し、地上からできる範囲で観察するにとどめるのが基本です。
ブルーシートでの応急的な養生
屋根材が大きく浮いたり剥がれたりしてしまった場合、雨水の侵入を防ぐためにブルーシートを使う方法があります。ブルーシートをかけることで一時的に防水効果を確保し、室内への雨漏りを防ぐことが可能です。ただし、この作業も高所での危険を伴うため、原則としては専門業者に依頼するのが望ましいといえます。やむを得ず自分で行う場合は、必ず風が弱まってから安全対策を徹底したうえで、はしごをしっかり固定し、作業中の安全確保や非常時の援護のために必ず2人以上で作業を行いましょう。また、ブルーシートの端を重しで押さえるだけでは風で飛ばされてしまうため、ブルーシートを被せた後にロープやテープを使って確実に固定する必要があります。この固定がしっかりできていないと、走行中の車にあたってしまうなどの二次被害が起こる可能性があるため、確実に固定できていることを確認して作業を終えましょう。
落下物や飛散物の確認
強風で浮いた屋根材は、その場で止まっているように見えても、次の突風や余波で一気に飛ばされる可能性があります。特に屋根の端や棟板金は金属製で軽量なため、風にあおられて遠くまで飛ぶことがあり、近隣の家屋の窓ガラスを割ったり、駐車中の車を傷つけたり、さらには通行人に直撃する危険もあります。実際に台風被害の後には「瓦が隣の家に飛んでしまった」「棟板金が道路まで落ちてきた」というトラブルも多く報告されています。そのため、屋根材がすでに落下している場合は、まず庭や道路に散乱した破片を確認しましょう。ただし、瓦や金属板の破片は鋭く尖っている場合が多く、素手で触ると手を切る恐れがあります。片付けを行う際には必ず厚手の手袋を着用し、できれば靴底が厚い靴を履いて足元も守るようにしましょう。落下した部材は重くて持ち運びが困難なこともあるので、無理をせず、袋やダンボールにまとめて安全に保管しておくのが安心です。
被害の記録を残しておく
屋根が強風で浮いたり破損してしまったときには、応急処置と並行して必ず行ってほしいのが「記録を残すこと」です。なぜなら、火災保険や風災補償を利用する際、被害の証拠があるかどうかで補償が認められるかどうかが大きく変わってくるからです。また、修理業者に依頼するときにも、被害状況を正確に伝えるための材料として役立ちます。記録を残すときの基本は、スマートフォンやカメラで写真や動画を撮影しておくことです。まずは、屋根が浮いた部分や瓦・棟板金が剥がれた部分をできるだけ鮮明に撮りましょう。屋根の上に登る必要はありません。むしろ登ると危険ですので、地上からズーム機能を使ったり、脚立を活用して無理のない範囲で撮影してください。次に、家全体の外観写真も記録しておきます。これがあると「どの程度の規模で被害が出ているのか」が一目で分かり、第三者にも状況を説明しやすくなります。
強風被害を防ぐために行いたい屋根のメンテナンスとは?

強風で屋根が浮いたり剥がれたりする被害は、台風や突風のときに突然起こるように感じられますが、実は「普段からのメンテナンス」で防げるケースも多くあります。日本の住宅は四季を通じて風雨や紫外線にさらされ続けており、見えない部分で少しずつ劣化が進んでいます。その小さな劣化が放置されると、強風を受けたときに一気に破損し、大きな修理費用や近隣への被害につながってしまうのです。そこでここからは、強風被害を最小限に抑えるために、日頃から行っておきたい屋根のメンテナンス方法を具体的に解説していきます。
屋根材のズレや浮きを早めに補修する
瓦やスレート、金属屋根など、どの屋根材であっても「ズレ」や「浮き」は強風被害の入口になります。瓦が少し傾いていたり、スレートが一部浮いていたりするだけでも、強い風がそこに入り込み、テコの原理で一気に持ち上がってしまいます。さらに一枚が飛ばされると、隣の屋根材にも影響が広がっていき、結果として被害も広がることになってしまいます。庭や道路から屋根を見上げたときに「瓦が波打って見える」「スレートの端が浮いて影ができている」と感じたら、それは劣化やズレのサインです。小さな違和感を見逃さず、早めに補修することで、大規模な被害を未然に防ぐことができます。補修費用は被害が広がってからの修理に比べると格段に安く済みますので、初期段階での対応をすることによって、補修費の負担を減らすことができます。
雨どいや周辺の清掃を行う
強風による屋根被害は、屋根材そのものだけでなく「付帯部分の状態」によっても拡大することがあります。その代表が雨どいです。雨どいに落ち葉や泥、ゴミが詰まっていると、台風や強風を伴う大雨の際に水が正常に流れず、屋根や外壁に余計な負荷をかけてしまいます。水があふれることで内部の木材が腐食し、屋根全体の耐久性が落ちることもあるのです。また、屋根周辺に物を置いたままにしていると、それらが強風で飛ばされ、屋根を直撃する「二次被害」につながる危険があります。例えば、植木鉢や工具、ベランダの物干し竿などは強風のときに凶器となり、屋根材を割ったり凹ませたりする原因になります。普段から雨どいを清掃し、周囲を整理整頓しておくことも、立派な屋根メンテナンスの一環です。
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定期的にプロの業者の点検を実施する
屋根の不具合は、一般の人が地上から見ても分からないケースが多くあります。釘のわずかな浮き、シーリング材の劣化、小さなヒビなどは専門の目でなければ発見できません。見えないまま放置されている不具合が、強風のときに一気に大きな被害を引き起こすのです。そのため、少なくとも年に1回は、専門業者による屋根点検を受けることをおすすめします。特に台風シーズンが始まる前に点検しておけば、台風による被害を最小限に抑えることができますよ。点検の際には、必要に応じて塗装の塗り替えや棟板金の補強、屋根材の部分補修などを行うことで、屋根全体の耐久性を大幅に高めることができます。
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まとめ
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