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防水工事の法定耐用年数は? 修繕費には含まれる? 国税庁の定める条件を確認して節税対策を!

お役立ちコラム

更新日:2023/10/18

事務所や所有している不動産の屋根の防水工事、どうすれば負担を減らして修理ができるのか。不動産を所有されている方や大家さんで、このようなことで悩んでいる方も多いのではないかと思います。実際にインターネットで調べると難しい言葉が並び、管理に慣れていない方や不動産を所有して日が浅い方などは、難しいなと感じてしまうかもしれません。特に「税金」という言葉を聞くと「税理士さんに相談しないといけないのか」「自分で解決するのは難しいのか」とハードルを高く感じてしまいがちです。しかし実際はそんなことはなく、税理士にお願いしなくても屋根の防水工事で節税することは可能です。今回はそんな防水工事を行う上で節税する方法を、分かりやすく解説していきます。

「修繕費」と「資本的支出」の違いは?

屋根の防水工事で節税する方法について調べると、必ずこの2つの単語がセットになってあがってきます。防水工事の節税について知るためには、まずはこの2つの単語の意味と違いを知る必要があります。また下記で説明している内容は国税庁のホームページに記載されている内容のものです。国税庁のホームページは以下URLより確認することができます。

参考元/国税庁ホームページ〔資本的支出と修繕費等〕
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/05/07.htm

修繕費とは?

修繕費とは所有する不動産、車両、機械、備品などの固定資産が故障した際に原状回復するために行う修理費または定期的なメンテナンス費用のことをいいます。屋根の防水工事の場合、屋根に雨漏りが発生した際の修理費や、今までと同様の防水性能を保つために行う定期メンテナンスがこの修繕費に該当します。あくまでも「現在の価値を保守するための工事」であって「現在の価値を高めるための工事」ではありません。屋根の防水工事が修繕費として該当する場合は、経費として計上することができ結果的に節税ができるということになります。

資本的支出とは?

固定資産の価値を高めるために行う修繕や工事について発生した金額は、資本的支出となります。例えば、本来ついていた部品より性能のいい部品を取り付けた、必要になったものを追加で取り付けた(階段や部品など)といった内容がこの資本的支出に当てはまります。屋根の屋上防水工事でいうと、防水性能をあげる工事をした、見た目が美しくなるように使う素材のグレードをあげた、不動産の耐用年数が増えるような工事をしたなどが該当します。いずれも原状よりも固定資産の価値が上昇していると認められるため、修繕費とはならず経費での計上はできません。

防水工事の法定耐用年数は?

「法定耐用年数」という言葉を初めて聞いた方もいらっしゃると思います。法定耐用年数とは10万円以上の固定資産に対して財務省が資産ごとに定めた年数のことをいい、長期間にわたって使用・収益することが前提の事業用資産(減価償却資産)のものが対象になります。ただし屋根については法定耐用年数が定められておらず、建物の耐用年数が適応されます。簡単に言うと法定耐用年数とは「税法により定められた固定資産の価値があると見なされる年数」のことをいいます。税法上では固定資産の価値は年々減少し、いつかは価値がなくなるものと考えられています。

耐用年数は工事の種類や資材によって変化する

防水工事においては、法定耐用年数が〇年と定められているのではなく、工事の種類や使われている建築資材の耐用年数によって変わってきます。そのため、防水工事の耐用年数を算出する場合には、防水工事単体で見ることはできません。一般的には耐用年数として10~15年程度で考えられていることが多いですが、詳しい年数についてはケースバイケースです。

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防水工事の工法は4種類! それぞれのメリット・デメリットは?
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耐用年数と耐久年数は別物

耐用年数のお話をしてきましたが、実は「耐久年数」といった言葉があることもご存じでしょうか。耐久年数は、「商品などが性質を保ち問題なく使用できる年数」のことをいい、一般的には商品を開発した企業などが公表しているものです。屋根の防水工事のメンテナンスはこの耐久年数を元に行います。屋根の防水工事を修繕費として考えると、耐久年数に沿ってメンテナンスを行うことで本来あるべき「防水」「雨水の侵入から住宅を守る」という役割を果たし、屋根の性質を維持するということになります。そのため耐久年数を目安にメンテナンスを行う費用は修繕費として組み込むことが可能となり、また雨漏りなどが起きた際の修理も同様の扱いとなります。

税理士に頼らず賢く節税! 修繕費が適応されるルールとは?

税理士に依頼しなくても「修繕費」と「資本的支出」の違いや耐用年数についてしっかり理解した上で、必要なメンテナンスを行うことで自分で防水工事にかかった費用を経費計上することは可能です。基本は不動産の原状維持・回復については「修繕費」、不動産の価値をあげる工事に関しては「資本的支出」となります。

同じ工事の中で2つの要素が同時に発生した場合は、修繕費として認められる工事のみ経費計上となります。しかしある条件の下では確実に不動産の現状維持・回復のための工事でなくとも、修繕費として計上ができるものもあります。このルールを知っておくと節税という面でも役に立ちますので、是非参考にしてみてくださいね。

①20万円以下は「修繕費」

修理・改善にかかった費用が20万円以下の場合は、その内容が明らかに資本的支出であっても修繕費として計上してOKです。「不動産の価値が上がるような工事を行った」「外観美のために塗装を行った」「従来のものより性質のいい部品を取り付けた」などの場合であっても、本来であれば資本的支出の扱いになりますが20万円以下であれば修繕費として見なしていいということになります。そのため金額が小さい場合は難しいことを考えなくても大丈夫です。

②60万円以下または取得価額の10%以下は「修繕費」

明確な区分が不明なものに限って、60万円以下または取得価額の10%以下であれば修繕費として計上してもOKです。取得価額とは前期末までの資本的支出の金額を合計した金額のことをいいます。合計した金額によってはそれなりに大きな金額になることもあります。ただし明確な部分に関しては同じ修理・改善工事であっても別で計上しなくてはなりません。明らかに固定資産の価値があがるような修理・改善を行った部分に関してはこのルールは適応できませんので注意が必要です。

防水工事の適切なタイミングとは?

ここまでで、防水工事と節税の関係についてお話をしてきました。知っていると知らないでは税金に違いが出てくるため、投資家の方やマンションなどの大家さんは、しっかりと知識として覚えておく必要があります。また経費や節税の話ではなく、建物の資産価値を損なわないために、定期的なメンテナンスを実行していく必要もあります。ここでは防水工事のメンテナンスの時期について、詳しく解説をしていきます。

トップコートは5年おき

防水工事を行う場所にもよりますが、バルコニーやベランダなどには一般的に、防水層の上にトップコートと呼ばれる保護剤が処理されています。このトップコートがあることで、防水層を傷付けることなく歩いたり、摩擦や天候などによる劣化の影響を最小限にすることができます。そんなトップコートですが、防水層よりも実際に生活の中で触れる面が多いため、5年と短めのスパンでのメンテナンスが推奨されています。

防水層は10年~15年おき

トップコート下の防水層は、10年~15年おきのメンテナンスが推奨されています。また、その他屋根などの防水工事も同様の期間でメンテナンスを行うことが推奨されています。行っている防水工事の種類によって推奨メンテナンスには差があるものの、基本的にはなにもなくても10年~15年に一度は業者に来てもらい、点検を実施することが大切です。点検を行ったからと言って毎回防水工事をするかと言われると、そうではありません。防水工事も必要に応じて行っていく形となりますので、実際は15年以上問題なくそのまま使っている方もいらっしゃいますし、10年経たず新しくやり直す方もいらっしゃいます。大切なのは建物に雨漏り被害が出ることを防ぐことですので、定期的なメンテナンスは必ず行うようにしましょう。

防水工事を依頼する前に注意したいこととは?

防水工事は定期的にメンテナンスを行う必要があることを、知っていただけたかと思います。しかしいざ防水工事を実施するとなった際に、節税を行いたい旨などを業者にきちんと伝えておかないと、後々工事が資本的支出と見なされてしまうケースがあります。また業者選びを間違えてしまうことで、さまざまなトラブルに発展する可能性もあります。そのため最後に、防水工事を依頼する前に注意していただきたいことについて解説して終わります。

業者に修繕の範囲で工事したい意図を伝える

業者に特に要望を伝えないまま見積もりをお願いしてしまうと、業者としてもよかれと思って、よりよい材質を使った防水工事の提案などを行う場合があります。しかし本記事で解説したように、節税効果を高めるためには今以上の価値になるような工事は選択できません。万が一今よりもいい材質などを使って建物の価値が上がってしまうと、修繕費として計上することが認められないのです。そのため、最初から業者には「節税効果を高めるために修繕費として計上できる範囲内で工事を実施したい」と伝えておくようにしましょう。こうすることで見積もりの二度手間や、工事の間違いなどを防ぐことができ、安心して防水工事のメンテナンスを実施できます。

節税対策に十分な知識のある業者を選ぶ

業者の中には、本記事で解説しているような節税対策や、対応する工事についてあまり理解していない業者もいます。業者にも得意不得意分野はありますので、理解していないからダメだというわけではありませんが、実績や理解がある業者の方が対応はスムーズです。そのため、現地調査を依頼する前の段階で防水工事のメンテナンスを依頼する意図を伝え、対応してもらえる業者なのかを確認しておくと安心ですよ。

施工実績があり技術がある業者を選ぶ

防水工事は、万が一施工不良が発生すると雨水が建物内に侵入し、大きなダメージを与えてしまいます。そのため依頼する業者は慎重に選ぶようにしましょう。業者がどのくらいの施工実績があるのかで、ある程度技術力を見ることもできます。まずは依頼したいと考えている業者のホームページを確認し、施工実績や業者が保有している資格などを確認しておくのがオススメです。中には詳しい施工実績を公開していない業者もいるため、依頼したいと考えている業者には電話やメールなどで問い合わせするのもひとつの方法です。

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防水工事に必要な資格とは? 業者に依頼する時に見るべきポイント
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見積もりは2~3社からとる

初めて防水工事を依頼するという方もいらっしゃるかと思いますが、その際は必ず見積もりは2~3社からとるようにしましょう。違う業者の見積もりを見比べることで、予算に近い業者を選びやすくなりますし、個々の業者の対応や見積もりの違和感に気付くことができます。中には防水工事を最初から手抜きするつもりで安い費用で提案してきたり、追加で費用を上乗せしようとする悪徳業者も存在するため、見積もりの段階から慎重になる必要があります。

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まとめ

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