
事務所や所有している不動産の屋根の防水工事、どうすれば負担を減らして修理ができるのか。不動産を所有されている方や大家さんで、このようなことで悩んでいる方も多いのではないかと思います。実際にインターネットで調べると難しい言葉が並び、管理に慣れていない方や不動産を所有して日が浅い方などは、難しいなと感じてしまうかもしれません。特に「税金」という言葉を聞くと「税理士さんに相談しないといけないのか」「自分で解決するのは難しいのか」とハードルを高く感じてしまいがちです。しかし実際はそんなことはなく、税理士にお願いしなくても屋根の防水工事で節税することは可能です。今回はそんな防水工事を行う上で節税する方法を、分かりやすく解説していきます。
「修繕費」と「資本的支出」の違いは?
屋根の防水工事で節税する方法について調べると、必ずこの2つの単語がセットになってあがってきます。防水工事の節税について知るためには、まずはこの2つの単語の意味と違いを知る必要があります。また下記で説明している内容は国税庁のホームページに記載されている内容のものです。国税庁のホームページは以下URLより確認することができます。
◎参考元/国税庁ホームページ〔資本的支出と修繕費等〕
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/05/07.htm
修繕費とは?
修繕費とは所有する不動産、車両、機械、備品などの固定資産が故障した際に原状回復するために行う修理費または定期的なメンテナンス費用のことをいいます。屋根の防水工事の場合、屋根に雨漏りが発生した際の修理費や、今までと同様の防水性能を保つために行う定期メンテナンスがこの修繕費に該当します。あくまでも「現在の価値を保守するための工事」であって「現在の価値を高めるための工事」ではありません。屋根の防水工事が修繕費として該当する場合は、経費として計上することができ結果的に節税ができるということになります。
資本的支出とは?
固定資産の価値を高めるために行う修繕や工事について発生した金額は、資本的支出となります。例えば、本来ついていた部品より性能のいい部品を取り付けた、必要になったものを追加で取り付けた(階段や部品など)といった内容がこの資本的支出に当てはまります。屋根の屋上防水工事でいうと、防水性能をあげる工事をした、見た目が美しくなるように使う素材のグレードをあげた、不動産の耐用年数が増えるような工事をしたなどが該当します。いずれも原状よりも固定資産の価値が上昇していると認められるため、修繕費とはならず経費での計上はできません。
防水工事の法定耐用年数は? 耐用年数と耐久年数は別物!
「法定耐用年数」という言葉を初めて聞いた方もいらっしゃると思います。法定耐用年数とは10万円以上の固定資産に対して財務省が資産ごとに定めた年数のことをいい、長期間にわたって使用・収益することが前提の事業用資産(減価償却資産)のものが対象になります。ただし屋根については法定耐用年数が定められておらず、建物の耐用年数が適応されます。簡単に言うと法定耐用年数とは「税法により定められた固定資産の価値があると見なされる年数」のことをいいます。税法上では固定資産の価値は年々減少し、いつかは価値がなくなるものと考えられています。
一方で耐久年数についてですが、「商品などが性質を保ち問題なく使用できる年数」のことをいい、一般的には商品を開発した企業などが公表しているものです。屋根の防水工事のメンテナンスはこの耐久年数を元に行います。屋根の防水工事を修繕費として考えると、耐久年数に沿ってメンテナンスを行うことで本来あるべき「防水」「雨水の侵入から住宅を守る」という役割を果たし、屋根の性質を維持するということになります。そのため耐久年数を目安にメンテナンスを行う費用は修繕費として組み込むことが可能となり、また雨漏りなどが起きた際の修理も同様の扱いとなります。
防水工事は何年でメンテナンスをすればいい?

ここまで読んでいただいた方は、どんな工事が経費として計上でき節税になるのかをご理解いただけたかと思います。では実際に防水工事についてですが、一体何年を目安にメンテナンスを行えばいいのでしょうか。屋根の防水工事に限らず、ベランダやバルコニーなど家全体の防水工事は一般的に「10~15年に1度」と言われています。部位別に見るとトップコートの耐久年数は5年、その下の防水層の耐久年数が10~15年と言われています。
防水工事を行う理由は、雨などの際に屋根やベランダから建物への雨水の侵入を防ぎ、建物にダメージを与えないようにするためです。どんなに丁寧にお手入れをしていても、外気や雨風に常にさらされている屋根やベランダは必ずメンテナンスが必要になります。ただしこの期間はあくまで目安であって、該当する不動産がある地域によっては台風が多い、紫外線が強い、海が近く塩害を受けやすい、降雪量が多いなどその地域特性の気候によって更にメンテナンス期間が早まることもありますし、メンテナンス前に修理が必要な状況になる場合もあります。
そのため臨機応変に、屋根などの状況を確認しながらメンテナンスが必要かどうかを判断していく必要があります。防水工事の工事内容については別の記事で詳しく解説をしておりますので、合わせてご覧ください。
◎合わせて読みたい記事!
防水工事の工法は4種類! それぞれのメリット・デメリットは?
https://www.elife-home.net/column/bousuikouji/.html
税理士に頼らず賢く節税! 修繕費が適応されるルールとは?
税理士に依頼しなくても「修繕費」と「資本的支出」の違いや耐用年数についてしっかり理解した上で、必要なメンテナンスを行うことで自分で防水工事にかかった費用を経費計上することは可能です。基本は不動産の原状維持・回復については「修繕費」、不動産の価値をあげる工事に関しては「資本的支出」となります。
同じ工事の中で2つの要素が同時に発生した場合は、修繕費として認められる工事のみ経費計上となります。しかしある条件の下では確実に不動産の現状維持・回復のための工事でなくとも、修繕費として計上ができるものもあります。このルールを知っておくと節税という面でも役に立ちますので、是非参考にしてみてくださいね。
①20万円以下は「修繕費」
修理・改善にかかった費用が20万円以下の場合は、その内容が明らかに資本的支出であっても修繕費として計上してOKです。「不動産の価値が上がるような工事を行った」「外観美のために塗装を行った」「従来のものより性質のいい部品を取り付けた」などの場合であっても、本来であれば資本的支出の扱いになりますが20万円以下であれば修繕費として見なしていいということになります。そのため金額が小さい場合は難しいことを考えなくても大丈夫です。
②60万円以下または取得価額の10%以下は「修繕費」
明確な区分が不明なものに限って、60万円以下または取得価額の10%以下であれば修繕費として計上してもOKです。取得価額とは前期末までの資本的支出の金額を合計した金額のことをいいます。合計した金額によってはそれなりに大きな金額になることもあります。ただし明確な部分に関しては同じ修理・改善工事であっても別で計上しなくてはなりません。明らかに固定資産の価値があがるような修理・改善を行った部分に関してはこのルールは適応できませんので注意が必要です。
まとめ
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